電車の運転士になるには?仕事内容や給料は?
こんにちは、横山英俊です。今回は、電車の運転士について解説していきます。
乗り物が好きな子供なら誰もが一度は憧れると言っても過言ではないほど、鉄道運転士は人気のある職業ですよね。毎日たくさんの人々を乗せて大きな電車を運転する電車の運転士にはどのような資質が求められているのでしょうか。
鉄道運転士はどんな人?
鉄道運転士は、乗客や貨物を乗せた電車を運転して、安全・正確に目的地まで届けるのが大きな仕事です。その他、発着の準備や報告やトラブル・災害の対応なども行います。
鉄道運転士のやりがい
人々のライフラインのひとつでもある電車を操縦するというのは、責任も重大です。一度に預かっている命も多く、毎日些細なミスも許されません。そのぶん、自分の仕事が多くの人々の役に立っているという自覚も大きい仕事といえ、それを「やりがい」としている人も多いでしょう。
また、乗客側からすれば「毎日定刻通りに発着するのが当たり前」という感覚の人も多いですが、電車の運転はその日その日の天候や車両の状態、乗客数によっても運転間隔が変わる乗り物です。
自分が運転する車両の状態をいち早く察知し、どのような状態であってもしっかりとダイヤ通りに運行するには相当の技術が必要。鉄道運転士は運転士の免許を取った後も勉強の毎日なのです。自分が積み上げてきた技術を実感する時に「やりがい」を感じるという運転士もいるようですよ。
鉄道運転士の大変なところ
鉄道運転士は勤務時間が不規則であるため、慣れるまでは辛いと言う人もいます。朝5時台の始発を運転する日もあれば、夕方から深夜の終電を運転する日もあるというのは、普通の会社員ではあまり考えられない勤務形態ですよね。
また、鉄道運転士は業務中の居眠り厳禁。多くの人の命を預かる仕事であるということも念頭に置いて仕事をしなければなりません。自身の体調管理をしっかり行うことはもちろん、精神的なプレッシャーにも勝たなければ務まらない仕事なのです。
鉄道運転士の詳しい仕事内容
鉄道運転士の仕事内容を詳しく見てみましょう。
■電車の運転
信号機や標識、路線の状況に応じて速度を調節しながら、時刻表通りに目的地へ到着できるように運転するのが仕事のひとつです。電車が駅に止まる際には、駅のホームの停止線に合わせて停車するなどの運転技術も必要となります。
■電車設備のチェック
電車を運転する前(車両を車庫から出す際)に、モーターやブレーキといった機器類や安全装置のチェックを行うことも鉄道運転士の仕事です。
■トラブルや災害の対応
鉄道運転士は、自分が運転している車両に起こったトラブル事故などの緊急対応を行う場合もあります。不測の事故が発生した場合、車掌などのスタッフと連携して乗客の安全を確保したり、事故の処理を行ったりします。
鉄道運転士になるにはどうすればいい?
車の運転免許と同じように、鉄道の運転は「動力車操縦者運転免許」の試験に合格した人のみ行うことができます。
「動力車操縦者運転免許」の受験は20歳以上であれば可能ですが、実技試験合格のために国土交通省認可の動力車操縦者養成所でトレーニングを受けてから受験するのが通例となっています。鉄道会社に就職できたからといって、すぐに鉄道運転士になれるわけではありません。
鉄道運転士になるためのルート
鉄道運転士を目指す人は、まず鉄道会社に入社して1年〜数年間駅員や車掌として勤務し、実務経験を積みます。実際に運転士を目指している社員が駅員や車掌業務を行う期間は短くてもおよそ2〜3年とされており、もっと長くこの業務に就く人もいます。(駅員を2年経験してから、さらに車掌業務を3年行うなど)
この駅員や車掌の業務を数年間行い、電車に関する基礎知識をしっかり取得して初めて「鉄道運転士」になるためのトレーニングを受ける資格が得られます。
JRや大手私鉄の場合は自社に動力車操縦者養成所を持っているため、そこで約8〜10ヶ月ほど鉄道運転士になるためのトレーニングを受け、やっと「動力車操縦者運転免許」の資格試験に臨むのです。
[画像:shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/192]
鉄道運転士になるために必要な資格
運転士として仕事をするには、先ほども触れたように国家資格である「動力車操縦者運転免許」の試験を受験し、合格しなければなりません。
動力車操縦者運転免許は日本の法律で定められた鉄道を運転できる資格で、業務独占資格のひとつ。また、運転免許の種類は以下の12種類です。
- 蒸気機関車運転免許(甲種・乙種)
- 電気車運転免許(甲種:電気機関車と電車・乙種)
- 内燃車運転免許(甲種:内燃機関車と内燃動車・乙種)
- 新幹線電気車運転免許
- 磁気誘導式電気車運転免許(第一種・第二種)
- 磁気誘導式内燃車運転免許(第一種・第二種)
- 無軌条電車運転免許
参考:動力車操縦者運転免許に関する省令(elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=331M50000800043_20210101_502M60000800098)
一般的にイメージされる電車の運転士を目指す人の場合、「甲種電気車操縦者運転免許」の取得を目指すことが多いと言えます。新幹線を運転したい場合は「新幹線電気車運転免許」が必要になるなど、免許の種類によって運転できる車両の種類が違うため、自分が運転したい車両の免許はどれに当たるのかしっかり把握しておく必要があります。
また、一度動力車操縦者運転免許を取得し念願の電車運転士になっても、定期的に受ける必要のある「運転適性検査」に毎回合格しなければ、運転士を続けることができません。多くの人の命を預かる仕事だからこそ、知識と適正はとても厳しく審査されます。
鉄道運転士のキャリアや収入について
鉄道運転士になる前には、まず駅員や車掌としてキャリアを積み、「動力車操縦者運転免許」の受験資格を得るところから始まります。
鉄道運転士になるには長い下積み経験が必要であるため、運転士という仕事に憧れて就職した人は、あえてベテランの運転士として何十年も働きたいと希望する人もたくさんいます。
しかし、運転士は定期的に運転適性検査を受ける必要があり、検査に落ちてしまった場合には運転士として乗務することが出来なくなってしまいます。そのため、定年まで現役の運転士として務められる事例はあまり多くはないようです。
運転士を終えたあとのキャリアとしては、鉄道会社の管理職や駅長などに就くケースがあります。その他、後輩を育てる教育担当や、ダイヤ改正などよりよい鉄道の仕組みをつくるために本社勤務を希望する人もいます。
鉄道運転士の収入は、およそ400万円台後半〜600万台の間と言われており、一般的なサラリーマンの年収よりも若干高めの数値が発表されています。
まとめ
小さいころからよく電車に乗り、鉄道運転士に憧れている子供も少なくありません。実際に鉄道運転士になった人たちも、「電車の運転をしたい!」という強い気持ちを胸に、難関の資格試験をパスする努力をしてきた方ばかりです。
大きな電車を運転するという憧れの職務である一方、鉄道運転士には豊富な知識や高い適性も求められます。些細なミスが大事故の原因となるため、高いプレッシャーにも負けない精神力が必要な仕事とも言えるでしょう。
新幹線のCA、パーサーの仕事内容・サービスは?
こんにちは、横山英俊です。今回は、新幹線の車内で活躍するパーサーという職業のスタッフについて解説していきます。
新幹線に乗る際、いつも清潔感のあるスタイルと笑顔で出迎えてくれるパーサー。見た目の華やかさとともに、危険やトラブルがあった際には素早く乗客のケアをしてくれる頼もしい存在でもあります。新幹線のパーサーに憧れている人も多いのではないでしょうか。
パーサーって何?どんなことをする人?
新幹線のパーサーとは、ひとことで言えば、乗客が目的地まで快適に過ごせるようサポートするスタッフのこと。目的地へのサポートだけではなく、車中で起こるトラブルへの速やかな対応なども仕事内容に含まれます。
簡単にパーサーの仕事を箇条書きにしてみると、このようになります。
- 搭乗口での乗客の出迎え(グリーティング)
- 車内でのワゴン販売
- 車内巡回やアナウンス
- 急病人の対応
- 事故など不測の事態に対する緊急対応
飛行機によく乗る人であれば、CA(キャビンアテンダント)の新幹線バージョンだと考えるとわかりやすいかと思います。もちろん、ここに挙げたもの以外にも搭乗日の報告書作成などといった細かい仕事がたくさんありますし、会社ごとにも異なる点はあります。
新幹線パーサーの詳しい仕事内容
新幹線パーサーの詳しい仕事内容を見ていきましょう。
■グリーン車の車掌業務
乗客が安心して目的地への旅ができるよう、車内に不審なものや異常がないか点検したり、車内巡回を行うのもパーサーの仕事です。車掌業務としては、乗車券・特急券をチェックする車内改札業務や、空席案内、旅客案内などが挙げられます。
■車内でのワゴン販売
新幹線パーサーの仕事として、一般の人たちにもイメージしやすいのが、車内でのワゴン販売ではないかと思います。
東海道新幹線であれば、車内販売のワゴンにはお弁当やコーヒー、アルコールやおつまみなどといった食品類が常時70〜80種類ほど取り揃えられています。あの有名な固いアイスクリームも、新幹線ならでは。乗客からの要望や季節によって入れ替えが行われています。
夜ならばアルコールやおつまみ類を多くワゴンに乗せるなど、乗客のニーズを汲み取り、何をどうやって販売するか考えるのもパーサーの仕事です。
■急病人やトラブルが発生した場合の対応
新幹線という多くの人にとって「非日常的」な空間では、乗り物酔いを含め急病人が発生することも多々あります。普段はあまりなくとも、「不審物を発見した」「長時間の停電に見舞われた」などといったトラブルも起こり得ます。そういった場合の対応もパーサーの仕事。また、緊急時の避難誘導などといった不測の事態の対応なども車掌と連携しながら行います。
パーサーのキャリアアップ
もちろん、パーサーという職業もキャリアアップは可能です。東海道新幹線の事例を見てみると、まずはワゴン販売を行う「アシスタントパーサー」から始まり、研修の受講と「車掌業務資格」の試験に合格することで「パーサー」に昇格します。そこで実績を積み昇格すると「シニアパーサー」、さらなる昇格でパーサーとしては最高ランクの「チーフパーサー」と上がっていきます。
最終的なキャリアとしては、新人研修などパーサー全体の教育を担当する「インストラクター」として活躍することが出来ます。全てのパーサーがこのルートを辿るわけではなく、パーサーとして一定の経験を積んだ後、適正を見込まれて内勤や管理者の道を進んでいくスタッフもいます。
ちなみに、東海道新幹線のパーサーはバッジの色、山陽新幹線のパーサーはスカーフやリボンの柄で役職がわかるようになっています。
パーサーに必要なスキル
新幹線パーサーに必要なスキルとはどのようなものでしょうか。
■接客マナーや身だしなみ・語学スキル
パーサーは採用された後にまず、上質なおもてなしをするためのマナーやコミュニケーションの研修を受けます。身だしなみや言葉遣い、接客の基本など、パーサーとしてだけではなく社会人として必要なスキルを学ぶことができます。
また、メイクや英会話の研修機会を設けている会社もあります。外国語の資格取得を絶対としている会社は多くありませんが、英語や中国語などが話せる場合は乗客とのコミュニケーションを円滑に行う事が出来たり、車内アナウンスに役立ったりします。
■おもてなしの心
乗客が新幹線に乗っている理由は、ビジネスマンや子ども連れの親、子どもひとりなど、立場や年齢も違います。新幹線パーサーは、そういった乗客個々に寄り添う必要があります。自分たちにとって新幹線に乗る事は日常であっても、乗客にとっては「初めて」の新幹線であり、ドキドキしていたり不安であったりする場合もあります。
電車が遅れそうな場合はいつもより車内アナウンスの間隔を短くしたり、不安そうな乗客には声をかけたり、ぐずる子どもをあやしたりする事もあります。すべての乗客が快適に目的地へたどり着くため、常に乗客が何を求めているのか考え、察するスキルが必要です。
■体調管理能力
新幹線パーサーはシフト制の勤務。不規則な勤務体制となるため、体調管理能力は必須だと言えます。泊まりでの勤務もあるため、上手に時間を使えるように考えなければいけない点についても留意しておく必要があります。また、揺れている車内での業務となるため、体幹の良さが活きるという声も聞きます。
まとめ
新幹線での移動は、多くの人が長くても2〜3時間程度。最長の東京〜博多間でも5時間程度となります。そんな短い時間のひとときを快適に過ごせるよう尽力してくれるのが「新幹線パーサー」です。
いつも笑顔で出迎えてくれる華やかさがある反面、毎日揺れる車内で重いワゴンを押し、緊急時には乗客の避難誘導を行ったり急病人の対応を行ったりもするなど頼もしい一面もあるお仕事だという事がわかります。
新幹線の車内でパーサーを見かけたら、ぜひその仕事ぶりにも注目してみてください。
コロナ渦の今、電車内の清掃や換気はどうしてる?
こんにちは、横山英俊です。今回は、コロナ禍における電車内における対応について解説していきます。
新型コロナウイルスの蔓延により、以前とは異なる対応が必要となりました。そのような状況下で、電車でも清掃や換気に力を入れるようになっています。
電車内の清掃について
まずは、JRなどが実施している電車内の清掃についてみていきましょう。
■通常時の清掃
電車内の清掃は、小まめに実施されています。それは、コロナ禍以前から続いているもので、より快適に利用してもらうための取り組みです。電車内の環境を維持するために、全般清掃班・日常清掃班・外板清掃班という3つのグループに分かれて清掃する所もあります。
電車内全体の掃除を担当する全般清掃班は、吊り革・窓・座席・床の掃除を行います。下から掃除した場合、上を掃除すると床などが汚れてしまう可能性があるからです。手順に沿った丁寧な清掃が常に行われています。
■拭き取り消毒
JRでは、吊り手や握り棒、窓枠、ドア付近、ひじ掛け、テーブル、トイレ、洗面台の拭き取り消毒を行っています。清掃時には、消毒用のアルコールや次亜塩素酸ナトリウム水溶液を使用しています。
その他に、独立法人製品評価技術基盤機構(NITE)が新型コロナウイルスに対して有効だと判断した界面活性剤を含んでいる洗剤も使用しているため、感染症対策はかなり厳重に行われていることがわかるでしょう。
人の手が触れる部分はウイルスの温床にもなりやすいため、電車内での感染を少しでも防ぐためにこのようにしっかりと消毒しているのです。消毒に関しては、以前から行っている業務ではありますが、コロナ禍でその間隔を縮小したケースもあります。
小田急電鉄は1年に1回しか消毒を行っていませんでしたが、新型コロナウイルスが流行り出した2020年2月21日から15日間をかけて全ての車両を消毒しました。特急ロマンスカーに関しては、90日に1回消毒を行っていましたが、その周期を7日から10日に短縮しています。
海外旅行客も多く利用する京成電鉄のスカイライナーは、2020年2月18日から7日前後の周期で噴霧消毒や手すりの吹き上げ清掃などを行うようになりました。通勤車両は、吊り革など手が触れる部分の消毒を重点的に実施しています。
■ユニークな道具を使用する場合も
東海道新幹線では、液体センサー付きの箒を使用した清掃を行っています。液体センサー付きの箒は、座席や背もたれが濡れていることを感知するとアラームが鳴り、洗浄や乾燥をおこなうというアイテムです。
清掃で対応できないと判断された場合は、すぐに交換する場合もあります。また清掃スタッフに関しては、社内担当とトイレ担当を分け、使う道具も専用のものが用意されています。
■新幹線の清掃
新幹線は、折り返し地点で車内の日常的な清掃を実施します。しかし、清掃に使える時間は10分未満と非常に短いため、スピーディーさが求められます。その短時間で、窓の拭き掃除や座席カバーの交換、忘れ物の確認などを滞りなく行うのは日本の誇りと言っても過言ではありません。
電車内の換気について
電車の換気はどのように行われているのか分からない人も多いでしょう。続いては、電車内の換気についてみていきましょう。
■通勤車両の場合
通勤車両は、駅ごとにドアが開くのでそのたびに換気されています。しかし、それだけではなく窓を開けることにより、走行中も換気するようにしています。さらに、空調装置を使って外気を定期的に取り入れているため、換気は小まめに行われていると言えるでしょう。
窓を5cm~10cmほど開けて走行した場合、空気はおよそ6分~7分で入れ替わります。
空調装置を使って定期的に外気を取り入れると、空気はおよそ5分~7分で入れ替わるのです。ドアの開閉や窓開け、空調装置の使用によって、およそ2分~3分ほどで電車内の空気が入れ替わっています。
■新幹線や在来線特急車両について
新幹線や在来線特急車両は、空調装置や換気装置を搭載しており、およそ6分~8分で電車内の空気が入れ替わるようになっています。
【新幹線の換気】
新幹線は、高速走行をするので社内の機密性はかなり高くなっています。
しかし換気ができないわけではありません。新幹線には換気装置が設置されていて、常に換気が行われているのです。空調装置で空気を循環させながら、換気装置でその一部を入れ替えています。
【在来線特急車両の換気】
在来線特急車両は、外気取り込み用のファンや排気ファンによって常に換気されています。空調装置で循環させるだけではなく、外の空気を取り込んでいます。電車内の空気に関しては、排気ファンによって外に排出されているのです。
まとめ
電車や新幹線は、密室の中に多くの人が集まるため、感染対策がどのようになっているのか気になっている人も多いでしょう。確かに密室ではありますが、きちんと清掃や消毒、換気が行われています。
次亜塩素酸ナトリウム水溶液などを使った消毒が実施されているので、安心して利用できます。換気は、空調装置などを駆使して常に行われているので、電車や新幹線内の空気がこもることはありません。丁寧な清掃と定期的な特別清掃により、安心して電車や新幹線を利用できます。
日本の古くなった車両はどこに行く?海外で第二の人生
こんにちは、横山英俊です!今回は日本の古くなった車両がどこへ行くのか解説していきます。役目を終えた車両の第二の人生はどうなるのか気になる方は、ぜひ最後までご覧ください。
JR九州キハ66・67系電車、JR東日本215系電車、JR東日本E4系新幹線電車Max、これらの車両は2021年に多くの人に惜しまれつつも引退した車両です。
まだ記憶に新しい引退車両ですが、JR北海道からは2022年3月のダイヤ改正によってキハ283系とキハ40系の引退も発表され、続々と古い車両が引退しています。
そこで気になってくるのが、引退した車両のその後です。
海外で活躍していく中古車両たち
長年人を乗せてきた車両は、経年劣化や老朽化により動作不良を起こす可能性があります。車両は法定耐用年数が13年間と決められています。そのため、日本ではある程度の期間使用した時点で引退となってしまうのが決まりです。
しかし、大抵の車両は設計上20~30年程度の耐用年数になっており、内装や車体、機器など新しくしながら13年以上使用されています。事実、引退してきた多くの車両は他社へ譲渡されて継続して使用されたり、博物館や車両基地へ行ったりするなど、中古車両として扱われてきました。
また、3Rの取り組みを推進するために、車両の多くが製造時に一部素材の種類や車両規格を統一し、解体時に再利用できる割合を増やしています。そんな3R文化が進んでいる鉄道業界ですが、特に中古車両が活躍しているのが海外です。海外では日本の中古車両を譲渡待ちする国で溢れているとも言われています。なぜ、それほどまでに日本の中古車両は人気が集まっているのでしょうか。
日本の中古車両はなぜ人気なのか
日本の中古車両の需要は年々増してきています。続いては需要を満たす日本の中古車両の魅力についてご紹介していきましょう。
■高性能な車内環境
日本はこれまでに数々の優れた車両を生み出しており、海外からも“技術大国”として名が知られています。軌道の安定性を確保する構造や振動を抑制するシステム、快適性を向上させる冷暖房機能など、日本の車両では当たり前の機能ですが、海外の車両ではお目にかかれないものも多いです。
最近では車両内にデジタル画面を設置し、ニュースや宣伝も流れるようになりました。今後も高性能な電車が誕生していくことで、海外からさらに注目を集めるようになるでしょう。
■中古でも綺麗な状態
日本の電車は定期的に清掃を行い、美観性が維持されています。海外から日本へ遊びに来た外国人の方も、日本の車両の綺麗さに驚くケースが多いです。日本でも時折車内にゴミが捨てられていることもありますが、海外では当たり前という人も多くいます。
そんな綺麗に扱われてきた電車は、長年人を乗せてきたとしてもかなり良い状態だと評価されているのです。譲渡先の国によっては新品とほとんど変わらないと言う人もいます。
■車両購入価格が安くて導入しやすい
日本の中古車両は綺麗で高性能でありながらも、安く購入できることも海外受けを呼んでいる理由の1つになっています。鉄道需要が増えているジャカルタでは、日本の中古車両は輸送費を含めても国内の新車10分の1程度の価格で購入できると言います。
ジャカルタではこれまで非冷房で暗く、車内に収まらない人は窓に掴まったり、車両の屋根に乗ったりするなど、とても快適な乗り心地とは言えないものでした。しかし、日本の中古車両を安く大量に買い付けたことで、乗客をきちんと車内に収められるようになったのです。
譲渡先は各国に及ぶ
先ほどジャカルタでの導入例をご紹介しましたが、実は日本の中古車両の譲渡先は様々です。ロシア、韓国、中国、ベトナム、タイ、フィリピン、マレーシア、アルゼンチン、インドネシア、ミャンマーなど、多数の国で活躍してきています。特に東南アジアへ譲渡されていることが分かります。
東南アジアの中でもインドネシアやミャンマーでは、人があふれるほどの満員電車が問題になっています。この問題が解決されたのは、日本の中古車両のおかげです。
しかし、一部の東南アジアでは批判の声も挙がっています。その理由は輸送費です。2021年12月、タイではJR北海道の中古車両が観光列車として改造される予定でした。譲渡された合計17両の輸送費は約4,250万バーツ(約1億4,700万円)で、タイがすべて負担することになったのです。このニュースを見て、タイ現地では賛否両論を巻き起こしています。
輸送費が高くても車両本体価格が安く、しかも性能が良いことに期待を寄せている人と、製造から30年以上過ぎた車両に導入コストがかかりすぎていると非難する人に意見が分かれています。日本は輸送費の問題や耐用年数を上回る車両を譲渡することがなければ、上記のような問題に直面することもないでしょう。今後の鉄道会社の動向に注目が集まっています。
まとめ
今後も日本では古い車両を目にする機会は少なくなり、新車両が続々と駅を埋めていきます。日本での役割を終えた古い車両も海外で活躍し、多くの人を乗車させています。
しかし、日本車両の安全性や快適性が評価されている今、輸送費を譲渡先にすべて負担させることや、基準を超える古い車両を譲渡した問題が問われているのも事実です。こうした問題が起きないようにするためにも、譲渡国との密なやり取りと車両の徹底管理が求められています。
鉄道の車内放送、特徴的な鼻声はなぜそうなった?
こんにちは、横山英俊です!みなさんは、電車を利用した時に車内放送の声が独特だと感じたことはありませんか?
特徴的な鼻声で車内放送する車掌さんが多いので、それが当たり前だと感じている人もいるでしょう。しかし、全ての鉄道会社の車掌さんがそのような車内放送をするわけではありません。
そのため、余計に気になってしまうという人もいるはずです。今回は、なぜ車内放送が特徴的な鼻声になったのかという疑問に答えていきましょう。
車掌さんの話し方が特徴的になった理由とは?
まずは、なぜ電車の車掌さんが特徴的な声で車内放送するのか、その理由からみていきましょう。
■①先輩の車内放送を踏襲しているから
1つ目は、先輩の車内放送を踏襲しているからという理由です。現役で活躍している車掌さんの中には、そのような話し方をするのが当たり前だと思っていたという人も多いです。聞きなれている車掌さんの話し方や先輩の話し方を真似ることで、必然的に特徴的な鼻声になります。
実習中からそのような車内放送をしても注意されたり、特別に始動されたりすることもないようなので、現場に出るようになってからも続けている人もいます。
しかし最近では、女性の車掌さんも増えつつあり、女性の場合は鼻にかかったような声で車内放送する人はほぼいません。多少似たような車内放送になっていたとしても、男性ほど特徴的ではないケースが多いです。
■②かつては放送に使用する機械の質が悪かったから
2つ目は、かつては放送に使用する機械の質が悪かったからという理由です。かつて電車で使っていた放送の機械は、雑音が入りやすかったり、低音が通りにくかったりといったデメリットがありました。
高音やサ行は、耳障りな音として伝わりやすかったこともあり、話し方が普段とは違う感じに変化していったと言われています。声のトーンを上げるだけではなく、舌と歯が触れないように話すようになったため、特徴的な鼻声で車内放送するようになったのです。
放送に使う機械の品質は、どの鉄道会社も大きな差はありませんでした。その結果、かつては全ての車掌さんが特徴だと言われている鼻声で車内放送をしていたということになります。
■③聞き取りやすくしようとしたから
3つ目は、聞き取りやすくしようとしたからという理由です。最近電車で使われているマイクや放送に使う機械の性能は良くなっていて、呼吸音まで拾ってしまいます。呼吸音が入ってしまうと聞き取りにくくなってしまうため、あえてマイクに息がかからないような向きで話すのです。そのような話し方をした時に、車掌さんをイメージさせるような特徴的な鼻声で話した方の声が入りやすいと考える人もいます。
また、普通の話し方にしてしまうと、お客さん同士の会話と区別がつきにくくなるため、あえて鼻声にしているという車掌さんもいます。
車掌さんの話し方が特徴的になった理由には、このようなものが挙げられますが、伝統的とも言える話し方を受け継ぎたいと考える人が多いと考えてもよいでしょう。ただし、京急電鉄の車掌さんが使うと言われている「ダァ シエリイェス」は、実際の車内放送とは違うため、必ずしも全てがイメージ通りではないと考えられます。
JR東日本やJR西日本はアナウンサーに近い話し方?
JR東日本やJR西日本の電車を利用する機会が多い人ならわかると思いますが、そこまで特徴的な声で車内放送をする車掌さんはいません。もちろん人によって話し方の癖はありますが、多くの人がイメージする車掌さんならではの鼻声は聞いたことがない人もいるはずです。
なぜかというと、JR東日本やJR西日本では節回しをつけない放送をするように指導しているからです。JR東日本の場合、NHKアナウンサーでの活動経験がある人を講師に招いて研修を行っていて、誰もが聞き取りやすい車内放送を徹底しています。
また、民間の鉄道会社においても独特な声で車内放送するような指導は行われていないといいます。先輩社員から指導を受けている中で一部のやり方が引き継がれたことが理由ではないかと考えられますが、特徴的な鼻声で車内放送する理由ははっきりと分かっていません。
また電車内で使われている放送機器も進化していて、トンネルの通過時や車内のにぎやかさなどを考慮し、車掌さんが話す時の放送音も補正しています。鉄道会社自体も、基本的には自動アナウンスを使用し、トラブルが発生した時に車掌さんがすぐ対応できるような体制を整えています。そのため、現在の車内放送は聞きやすさを重視する傾向にあり、特徴的な声で車内放送する車掌さんはかなり減ったと考えられるでしょう。
まとめ
電車に乗ると耳にする車内放送の声が特徴的で気になっていたという人は多いです。車掌さんのものまねをする時は、鼻にかかったような声で話すので印象的かもしれません。しかし、独特な声で話していた時代にはきちんとした理由がありました。
最近は使用している機械の進化や社内教育などによって、徐々にアナウンサーのような話し方をする車掌さんが増えています。それでも車掌さんらしさをイメージさせる特徴的な鼻声で車内放送する人もいるので、電車に乗る時は聞き比べてみると面白いかもしれません。
横山英俊おすすめ!駅発サイクルトレイン「B.B.BASE」の魅力
こんにちは、横山英俊です!旅先で自転車に乗ってサイクリングを楽しみたいと思っていても、目的地までの移動手段が電車であった場合、自転車を別で輸行したり、パーツごとに解体したりする必要があります。サイクリストにとって非常にネックな問題となっており、気軽に楽しむためにはどうすれば良いのか悩んでいる人も多いです。
そこで今回ご紹介するのは、自転車をそのまま電車に乗せられるサイクルトレイン「B.B.BASE」の魅力についてご紹介します。愛車と旅を楽しみたい人は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。
「B.B.BASE」とはどんな電車なのか
本当に自転車を解体することなくそのまま積めるのかと考える人もいるかもしれませんが、実際にサイクルトレインと呼ばれる電車が運行しています。東京・両国駅を始発に千葉県内の4つのスポットとつながっているサイクルトレインとして今注目されており、自転車と共に房総半島を旅できる鉄道会社のサービスとなっています。2018年1月にデビューし、これまでに多くのサイクリストを乗せてきました。正式名称は「BOSO BICYCLE BASE(房総バイシクルベース)」と言い、「鉄道と自転車の新しい旅」をコンセプトに運行しています。
これまで愛車との旅をする上で大きな課題だった自転車の運び方ですが、サイクルトレインを利用すればストレスフリーで旅を楽しめます。房総は温暖気候であるためサイクリストにとって絶好のエリアとなっており、愛車と共に房総半島を訪れたいという人も多いです。
B.B.BASEは、サイクリストの夢を叶えた魅力の詰まった電車として注目を集めています。では、実際にB.B.BASEの車内は普通の電車と一体何が違うのでしょうか。
B.B.BASEの車内はサイクルラックが設けられており、自転車を解体せずとも固定できます。サイクルラックに固定することができる自転車には規定が定められているため、利用する際は必ず事前に確認しておきましょう。
他にも車内にはサイクリストに配慮した工夫が施されています。B.B.BASEの車内の床にはゴム床が採用されているため、サイクリング用のシューズを履いていても滑りにくくなっています。
席を移動する際や自転車を積み下ろしする際も安全です。自転車に乗る人々のことを考えて設計されているため、車内は非常に快適なはずです。
運行しているエリア
B.B.BASEは東京・両国駅から館山駅・和田浦駅がある「内房エリア」、上総一ノ宮駅・勝浦駅・安房鴨川駅がある「外房エリア」、松尾駅・干潟駅・銚子駅がある「銚子エリア」、佐原駅がある「佐原エリア」の千葉県内の4エリアへ向かいます。
朝夕で1日1往復しています。停車駅は週替わりなので、行きたいエリアが決まっている場合はあらかじめ運行表を確認しておきましょう。デビュー当初、発着は両国駅のみでしたが、現在は本千葉駅・東千葉駅からも乗降できるようになっています。
B.B.BASEを利用するためには事前にネットまたは近くの「びゅうプラザ」にて申し込みをしなければいけません。
基本的に運行するのは千葉県内の4つのエリアのみですが、地域と連携した特別企画などの開催により、普段は走らないコースが追加される可能性もあります。
B.B.BASEの楽しみ方
房総半島を愛車と旅できる魅力的なB.B.BASEをさらに楽しむために、サイクリングにおすすめのスポットを巡ってみてはいかがでしょうか。その地にしかない体験ができたり、サイクリングならではの楽しみ方ができたりするかもしれません。
■B.B.BASEバイシクルステーション
両国駅にある自転車レンタルショップです。ここでは様々な種類の自転車を貸し出しているため、「サイクリングを楽しみたいけど自転車を持っていない」という人でも楽しめます。手ぶらで来て、手ぶらで帰れるのも魅力の一つです。
レンタルする際にはスタッフがしっかりと説明してくれるため、初めてのサイクリングでも安心して楽しめます。
■ベックスコーヒーショップ両国
休憩がてらゆっくりコーヒーを飲みたいという人におすすめなのがベックスコーヒーショップ両国です。旅の途中に寄り道ができるスポットがあれば気分転換にもなりますし、店の外にはサイクルラックが設けられているため、気軽に入店できます。
また、B.B.BASE利用者を対象に利用した当日、注文したドリンクをサイズアップできるサービスを無料で行っています。ぜひベックスコーヒーショップ両国に立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
■外房サイクルサポーターズ(SCS)
サイクルエイドステーションを設けることによって、サイクリストが気軽に立ち寄れる環境を整えています。目印となるのは、店の外にある「WELCOME SOTOBO」と書かれた青い旗と木製のラックです。サイクリストが入りやすい環境づくりがされているため、房総半島へ行った際にはぜひ訪れてみてください。
まとめ
今回は、東京・両国駅始発のサイクルトレイン「B.B.BASE」の魅力についてご紹介しました。大切にしている愛車と一緒に旅をしたいと考える人は多くいますが、どのように目的地まで運べば良いのか悩むこともあるはずです。解体した場合、現地で組み立てるという手間がありますが、B.B.BASEを利用すればそのままの状態で自転車を積み込めます。
また、サイクリストから愛される人気エリア・房総半島には、魅力的なスポットがたくさんあります。愛車と共に房総の大地を駆け巡る旅に出てみてはいかがでしょうか。
消費電力を減らせるエコ運転の取り組みについて
こんにちは、横山英俊です。今回ご紹介するのは、JR東日本や西日本をはじめとした鉄道各社の取り組み「エコ運転」です。
日々の暮らしの中で省エネや節約を意識する方は増えています。テレビやネットでも「省エネ」や「エコ活動」、「地球温暖化」のニュースや話題は多く見られるようになりました。
現在、世界中が地球温暖化などの環境問題解決のために、様々な取り組みを行っています。2050年までに温室効果ガスの排出量をゼロにすることを目標とし、具体的な政策がスタートしているのです。エコ運転の内容と実際の事例も併せてご紹介します。
エコ運転とは
列車は一般的に「加速」「惰性運行」「減速」の繰り返しで、駅間を運行しています。駅から発車する際に列車は加速モードに入り、最高速度に行きつくまで消費エネルギーは右肩上がりになります。その後、惰性運転に入るとエネルギー消費量はなだらかに減少し、停車のタイミングでゼロになるのです。
エコ運転とは、はじめの加速の時間を減らし最高速度を抑えることで、消費エネルギーを削減した運行のことです。定められた時間内で運行可能あれば、スピードを一気に出してから惰性走行に入るよりも、一定の速度で走る方がエネルギー消費量は抑えられるとしています。列車の運転士らは、どのくらいのスピードなら時間内の運行を保ちつつ、エネルギーの消費量を減らせるかの研究を行っています。
実際に取り組まれている事例
次に、実際に行われている事例を2つピックアップしてご紹介しましょう。
■山手線
山手線の運行をしているE235系電車には、車両モニタリング機能が搭載されています。その機能から、駅間ごとの消費エネルギーやかかった時間、加速・減速のタイミングなどのデータの取得が可能となるのです。取得したデータからエネルギー消費量を分析し、効率の良い運転のための最適な加速・減速のタイミングなどを決定します。時間内での運行を保つことを大前提とし、できる範囲でスピードを加速・減速させることでエネルギー消費を減らすことを目的としています。
実際に山手線の乗務員がエコ運転を試した結果、通常よりも約10%エネルギー削減に成功しました。1年間に換算すると、約500万kWh(CO2排出量 約1,400トン)のエネルギー削減となります。
山手線だけでなく、首都圏を走る在来線すべてが同じようにエコ運転に取り組めば、年間約2.3億5Wh(CO2排出量 約7.3万トン)のエネルギー削減が期待できます。
■東急電鉄目黒線
東急電鉄目黒線の運転士らが考案したのが「新ECO運転」です。これまでのECO運転に比べ、スピードをかなり落として走行します。田園調布駅から多摩川駅へ向かう際、従来の最高速度は時速75kmでした。新ECO運転では最高速度を時速45kmまでとし、その後は動力を使わない惰性走行での運行としています。
最高速度を抑えるので結果として走行スピードが遅くなり、到着までにかかる時間が多少伸びてしまいます。伸びてしまった時間を取り戻すために、駅に停車している時間が若干短くなってしまうのは避けられないことです。しかし、目黒線は「ワンマン運転」という強みがあります。ハンドルやドア操作を全て1人でするのでスムーズに発車準備ができ、停車している時間を短くできるのです。
2019年4月と新ECO運転を導入後の2021年4月を比べると、電車1両を1km走行させるために消費していたエネルギーを、1ヶ月あたり約13%の削減に成功しました。
まとめ
今回は、鉄道各社が取り組むエコ運転についてご紹介しました。エネルギー消費量を抑えるために、現在も鉄道各社の研究が進められています。生活していく上で、エネルギーは欠かせません。限りある資源は大切に使用しエネルギー消費の削減に取り組むことは、地球環境を守ることにつながります。地球を守るために今わたしたちに何ができるのか、今一度みんなで考えてみましょう。