横山英俊の鉄道ブログ

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横山英俊が調査!日本の鉄道が異なる軌間(レールの幅)を採用しているのはなぜ?

初めまして、横山英俊です!ブログ「横山英俊鉄道ブログ」を開設しました。初回は日本で他国と異なる軌間が採用されるようになった理由や、その背景についてご紹介します。

右と左のレールの頭部内面間の最短距離を軌間と言い、この軌間は鉄道の性能・能力に深い関わりがある要素です。 日本の鉄道では、この軌間が他国とは異なっており、不思議に思っている方もいるのではないでしょうか?また、軌間が異なることによって何か支障はあるのでしょうか?

日本の鉄道の現状や、海外との鉄道の違いに注目してこの記事を読んでみてください。

日本の軌間の現状とは

日本では、電車が通る鉄道道路や建設形態によって、様々な軌間が採用さています。 日本初となる鉄道は新橋一横浜間に開通し、レールの幅には1067ミリメートルという長さが採用されました。 当時、大蔵大輔だった大隈重信が決めたこの幅は、現在の軌間にも使用されており、多くの人々が利用するJR在来線や私鉄などがその一例です。

日本の軌間は海外とは異なると言われていますが、実は日本国内でも県や地域によって異なる軌間を採用していることをご存じでしたか? 一体なぜこのように様々な種類の軌間が現場で採用されているのでしょうか?

ご紹介するのは、異なる軌間が採用されるようになったきっかけです。 条例や法律も深く関係しており、様々な経緯によって全国各地で違いが見えてきます。

私設鉄道法」

日本の鉄道は、国鉄でつくられることが原則とされていました。 しかし、その後日本国内では鉄道が普及し始め、国鉄だけでは鉄道整備が追い付かなくなってしまいます。

そのような影響があり、非常に多くの私鉄が認可されるようになったのです。 鉄道の普及と同時に、法律でレールの幅を1067ミリメートルに決定し、1887年「私設鉄道条例」が制定されました。

制定された条例の第7条には、「三呎六吋」という言葉が出てきます。 これは、3フィート6インチ=1067ミリメートルを表す言葉です。 その後の1900年に施行された「私設鉄道法」にも受け継がれました。

軽便鉄道法」

国は自由度を求め、施設鉄道と比較して規格が簡便な「軽便鉄道法」を1910年に施行しました。 軽便鉄道法が制定されたことによって、762ミリメートルの狭い鉄道もつくられるようになり、軌間の建設に必要な費用が大幅に削減されたのです。

これらの路線はかつて「軽便鉄道」と呼ばれ、現在でもこの軌間が残っている路線があります。 軽便鉄道のような方式に追随する鉄道会社が増加した影響で、現在全国各地で軌間の違いが生じているのです。 このような背景があり、日本の鉄道には様々な軌間が採用されているのです。

鉄道発祥の地であるイギリスとの関係性

鉄道文化が誕生したイギリスの歴史について簡潔にご紹介します。 1803年に馬の牽引による公共鉄道「サリー鉄道」がロンドンで開通し、翌年には鉱山技師のリチャード・トレビシックが世界発となる蒸気機関車の実用化に成功しました。

そして、1825年に記念すべき世界初となる蒸気機関車による公共鉄道「ストックトンダーリントン鉄道」が開業したのです。 これが世界初、今では世界最古の鉄道となりました。

では、発祥の地であるイギリスと日本はどのような関係性があるのでしょうか? 1900年に施行された「私設鉄道法」でも定められている軌間3フィート6インチは、当時イギリスで使われていた単位であり、これをメートルに換算したのが1067ミリメートルです。 このような中途半端な数字を使っていたのは、発祥の地であるイギリスの影響は大きかったのでしょう。

なぜ日本は標準軌を採用しなかったのか

世界各国では、標準軌である1435ミリメートルが採用されています。 一体なぜ日本は1435ミリメートルを軌間に採用しなかったのでしょうか?

標準軌が採用されなかった背景には、国鉄時代の鉄道黎明期が大きく影響していると言われています。 諸説あると言われていますが、イギリスからの推奨や、建設する費用が抑えられること、輸送が難しかったことなどが挙げられます。

イギリスは標準軌の1435ミリメートルを採用する一方で、植民地では1067ミリメートルの狭軌が採用されていました。 その当時、日本はイギリスから植民地のような扱いを受けており、それが影響して現在採用されている1067ミリメートルを推奨されたのではないかと言われています。

また、標準軌よりも狭い幅の軌間を採用することによって、コストを削減できるというメリットがありました。 鉄道は広範囲で大規模な工事を短期間で行うため、なるべく必要な費用を抑えなければいけないのです。

しかし、標準軌を採用しなかったことで生じるデメリットもありました。 狭軌は乗り心地も標準軌に劣り、高速走行にも不向きであると分かりました。 速達性が重視されている場合、狭軌であると支障が出やすいのではないでしょうか?

海外の鉄道事情

現在では、多くの国が標準軌である1435ミリメートル、4フィート8インチ半を採用しています。 発祥地であるイギリスを始めとするヨーロッパ、北アメリカ、東アジアなど、世界で最も普及率が高い軌間になっています。

イギリスで初めて実用化された蒸気機関車が世界各国に広まり、それに伴い標準軌である1435ミリメートルが浸透していきました。 標準軌の幅以下の長さは、狭軌と呼ばれており、日本が採用しているのもその一つです。

京王線軌間は特殊な馬車軌間?

1970年代後半、新宿線京王線が直通運転することが決まり、それに伴い現在の京王電鉄軌間の変更を求めました。 当時、京王線は1372ミリメートルでした。しかし、京王はこの変更に応じず、新宿線が京王に合わせて変更することになったのです。

軌間を変更するということは、人々が利用している乗り換え駅や、輸送サービスに大きく影響するため、変更を拒否しました。 そもそもなぜ京王は、レールの幅が他の鉄道会社が採用していない1372ミリメートルだったのでしょうか?

その背景には、馬車が線路の上を歩く馬車鉄道が1372ミリメートルを採用していることと関係していました。 当時ではそれほど珍しい数字ではなかったようです。

日本で軌間を統一する試みはあったのだろうか?

現在、様々な軌間が採用されている日本ですが、過去に全国の軌間を統一するために、1067ミリメートルの採用を規制する「私設鉄道条例」が公布されたこともありました。 しかし、この変更に応じない鉄道会社もいたため、統一は実現しませんでした。

フリーゲージトレインがソリューションとなる可能性

フリーゲージトレインとは、その線路に合わせて軌間の変動が可能な試験電車のことをいいます。 電車が変動することによって、軌間を統一しなくても対応できるのではないかと期待されています。 フリーゲージトレインは、既存の車両を使用することができるので、コスト軽減にもつながるのです。 直通運転が可能になれば乗り換えも不要になり、より多くの人々が便利に利用できるのではないでしょうか?

横山英俊のまとめ

日本が他の国とは異なる軌間を採用している理由には、今回、ご紹介したような時代背景があったのです。 全国各地の路線は、開業するまでの様々な経緯によって、多種多様な軌間を生み出してきました。 一度は全国の鉄道会社で統一を試みましたが、難しかったようです。 しかし、現在フリーゲージトレインという新たな方法で、利便性を向上させようと取り組んでいます。

車両性能にもよるが、山手線(狭軌)と京急線(標準軌)の乗り心地を比べると、その差が良く分かるだろう。いくら鉄道ネットワークの拡充を優先に重きを置いたからと言って、将来、改軌工事は容易にできることではない。高速・大量輸送が鉄道の一番の利点なので、標準軌が理にかなった最適な線路幅のはずである。大隈重信の先見の明が無かったのではないかと思う。大阪圏のような標準軌で高速、快適走行できる基盤が理想ですね。

 

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