横山英俊の鉄道ブログ

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日本の古くなった車両はどこに行く?海外で第二の人生

日本の古くなった車両はどこに行く?海外で第二の人生【横山英俊の鉄道ブログ】

インドネシアへ旅立つ武蔵野線205系電車

こんにちは、横山英俊です!今回は日本の古くなった車両がどこへ行くのか解説していきます。役目を終えた車両の第二の人生はどうなるのか気になる方は、ぜひ最後までご覧ください。

JR九州キハ66・67系電車、JR東日本215系電車、JR東日本E4系新幹線電車Max、これらの車両は2021年に多くの人に惜しまれつつも引退した車両です。

まだ記憶に新しい引退車両ですが、JR北海道からは2022年3月のダイヤ改正によってキハ283系とキハ40系の引退も発表され、続々と古い車両が引退しています。

そこで気になってくるのが、引退した車両のその後です。

海外で活躍していく中古車両たち

長年人を乗せてきた車両は、経年劣化や老朽化により動作不良を起こす可能性があります。車両は法定耐用年数が13年間と決められています。そのため、日本ではある程度の期間使用した時点で引退となってしまうのが決まりです。

しかし、大抵の車両は設計上20~30年程度の耐用年数になっており、内装や車体、機器など新しくしながら13年以上使用されています。事実、引退してきた多くの車両は他社へ譲渡されて継続して使用されたり、博物館や車両基地へ行ったりするなど、中古車両として扱われてきました。

また、3Rの取り組みを推進するために、車両の多くが製造時に一部素材の種類や車両規格を統一し、解体時に再利用できる割合を増やしています。そんな3R文化が進んでいる鉄道業界ですが、特に中古車両が活躍しているのが海外です。海外では日本の中古車両を譲渡待ちする国で溢れているとも言われています。なぜ、それほどまでに日本の中古車両は人気が集まっているのでしょうか。

日本の中古車両はなぜ人気なのか

日本の中古車両の需要は年々増してきています。続いては需要を満たす日本の中古車両の魅力についてご紹介していきましょう。

■高性能な車内環境

日本はこれまでに数々の優れた車両を生み出しており、海外からも“技術大国”として名が知られています。軌道の安定性を確保する構造や振動を抑制するシステム、快適性を向上させる冷暖房機能など、日本の車両では当たり前の機能ですが、海外の車両ではお目にかかれないものも多いです。

最近では車両内にデジタル画面を設置し、ニュースや宣伝も流れるようになりました。今後も高性能な電車が誕生していくことで、海外からさらに注目を集めるようになるでしょう。

■中古でも綺麗な状態

日本の電車は定期的に清掃を行い、美観性が維持されています。海外から日本へ遊びに来た外国人の方も、日本の車両の綺麗さに驚くケースが多いです。日本でも時折車内にゴミが捨てられていることもありますが、海外では当たり前という人も多くいます。

そんな綺麗に扱われてきた電車は、長年人を乗せてきたとしてもかなり良い状態だと評価されているのです。譲渡先の国によっては新品とほとんど変わらないと言う人もいます。

■車両購入価格が安くて導入しやすい

日本の中古車両は綺麗で高性能でありながらも、安く購入できることも海外受けを呼んでいる理由の1つになっています。鉄道需要が増えているジャカルタでは、日本の中古車両は輸送費を含めても国内の新車10分の1程度の価格で購入できると言います。

ジャカルタではこれまで非冷房で暗く、車内に収まらない人は窓に掴まったり、車両の屋根に乗ったりするなど、とても快適な乗り心地とは言えないものでした。しかし、日本の中古車両を安く大量に買い付けたことで、乗客をきちんと車内に収められるようになったのです。

譲渡先は各国に及ぶ

先ほどジャカルタでの導入例をご紹介しましたが、実は日本の中古車両の譲渡先は様々です。ロシア、韓国、中国、ベトナム、タイ、フィリピン、マレーシア、アルゼンチン、インドネシアミャンマーなど、多数の国で活躍してきています。特に東南アジアへ譲渡されていることが分かります。

東南アジアの中でもインドネシアミャンマーでは、人があふれるほどの満員電車が問題になっています。この問題が解決されたのは、日本の中古車両のおかげです。

しかし、一部の東南アジアでは批判の声も挙がっています。その理由は輸送費です。2021年12月、タイではJR北海道の中古車両が観光列車として改造される予定でした。譲渡された合計17両の輸送費は約4,250万バーツ(約1億4,700万円)で、タイがすべて負担することになったのです。このニュースを見て、タイ現地では賛否両論を巻き起こしています。

輸送費が高くても車両本体価格が安く、しかも性能が良いことに期待を寄せている人と、製造から30年以上過ぎた車両に導入コストがかかりすぎていると非難する人に意見が分かれています。日本は輸送費の問題や耐用年数を上回る車両を譲渡することがなければ、上記のような問題に直面することもないでしょう。今後の鉄道会社の動向に注目が集まっています。

まとめ

今後も日本では古い車両を目にする機会は少なくなり、新車両が続々と駅を埋めていきます。日本での役割を終えた古い車両も海外で活躍し、多くの人を乗車させています。
しかし、日本車両の安全性や快適性が評価されている今、輸送費を譲渡先にすべて負担させることや、基準を超える古い車両を譲渡した問題が問われているのも事実です。こうした問題が起きないようにするためにも、譲渡国との密なやり取りと車両の徹底管理が求められています。

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