横山英俊の鉄道ブログ

横山英俊が鉄道について気になった点や、興味をもった事をまとめたブログです。

消費電力を減らせるエコ運転の取り組みについて

消費電力を減らせるエコ運転の取り組みについて

こんにちは、横山英俊です。今回ご紹介するのは、JR東日本や西日本をはじめとした鉄道各社の取り組み「エコ運転」です。

日々の暮らしの中で省エネや節約を意識する方は増えています。テレビやネットでも「省エネ」や「エコ活動」、「地球温暖化」のニュースや話題は多く見られるようになりました。

現在、世界中が地球温暖化などの環境問題解決のために、様々な取り組みを行っています。2050年までに温室効果ガスの排出量をゼロにすることを目標とし、具体的な政策がスタートしているのです。エコ運転の内容と実際の事例も併せてご紹介します。

エコ運転とは

列車は一般的に「加速」「惰性運行」「減速」の繰り返しで、駅間を運行しています。駅から発車する際に列車は加速モードに入り、最高速度に行きつくまで消費エネルギーは右肩上がりになります。その後、惰性運転に入るとエネルギー消費量はなだらかに減少し、停車のタイミングでゼロになるのです。

エコ運転とは、はじめの加速の時間を減らし最高速度を抑えることで、消費エネルギーを削減した運行のことです。定められた時間内で運行可能あれば、スピードを一気に出してから惰性走行に入るよりも、一定の速度で走る方がエネルギー消費量は抑えられるとしています。列車の運転士らは、どのくらいのスピードなら時間内の運行を保ちつつ、エネルギーの消費量を減らせるかの研究を行っています。

実際に取り組まれている事例

次に、実際に行われている事例を2つピックアップしてご紹介しましょう。

■山手線

実際に取り組まれている事例(山手線)

山手線の運行をしているE235系電車には、車両モニタリング機能が搭載されています。その機能から、駅間ごとの消費エネルギーやかかった時間、加速・減速のタイミングなどのデータの取得が可能となるのです。取得したデータからエネルギー消費量を分析し、効率の良い運転のための最適な加速・減速のタイミングなどを決定します。時間内での運行を保つことを大前提とし、できる範囲でスピードを加速・減速させることでエネルギー消費を減らすことを目的としています。

実際に山手線の乗務員がエコ運転を試した結果、通常よりも約10%エネルギー削減に成功しました。1年間に換算すると、約500万kWh(CO2排出量 約1,400トン)のエネルギー削減となります。

山手線だけでなく、首都圏を走る在来線すべてが同じようにエコ運転に取り組めば、年間約2.3億5Wh(CO2排出量 約7.3万トン)のエネルギー削減が期待できます。

東急電鉄目黒線

実際に取り組まれている事例(東急目黒線)

東急電鉄目黒線の運転士らが考案したのが「新ECO運転」です。これまでのECO運転に比べ、スピードをかなり落として走行します。田園調布駅から多摩川駅へ向かう際、従来の最高速度は時速75kmでした。新ECO運転では最高速度を時速45kmまでとし、その後は動力を使わない惰性走行での運行としています。

最高速度を抑えるので結果として走行スピードが遅くなり、到着までにかかる時間が多少伸びてしまいます。伸びてしまった時間を取り戻すために、駅に停車している時間が若干短くなってしまうのは避けられないことです。しかし、目黒線は「ワンマン運転」という強みがあります。ハンドルやドア操作を全て1人でするのでスムーズに発車準備ができ、停車している時間を短くできるのです。

2019年4月と新ECO運転を導入後の2021年4月を比べると、電車1両を1km走行させるために消費していたエネルギーを、1ヶ月あたり約13%の削減に成功しました。

まとめ

今回は、鉄道各社が取り組むエコ運転についてご紹介しました。エネルギー消費量を抑えるために、現在も鉄道各社の研究が進められています。生活していく上で、エネルギーは欠かせません。限りある資源は大切に使用しエネルギー消費の削減に取り組むことは、地球環境を守ることにつながります。地球を守るために今わたしたちに何ができるのか、今一度みんなで考えてみましょう。

hideyokoyama.hatenablog.com